
大手にするか、ベンチャーにするか。
ビジネスパーソンなら誰もが一度は考えたことがある『問い』ですよね。
僕は元キャリアコンサルタントなのですが、転職相談にほぼ間違いなく『大手企業とベンチャーで迷っているのですがどちらがオススメですか?』と聞かれます。
そんなとき僕は必ず『そんなことはどうでもいいので、成長したいなら儲かっている企業にいくべきです』と伝えてきました。
ちなみに僕自身のキャリアとしてはこんな感じです。
ベンチャー2年(マザーズ上場)→大手総合人材サービス2年(東証1部上場)→ベンチャー1年(未上場)
ベンチャーや大手企業で仕事をしていた経験から『大手にするか、ベンチャーにするか』に対する僕なりの答えをお伝えしたいと思います。
キャリアを真剣に考える方が少しでもミスマッチを防げるようになれば良いな、と思い書いています。ぜひお付き合い頂ければ嬉しいです。
目次
スキルアップしたいなら『儲かっている会社』を選ぶべき
結論からいうと、大手かベンチャーかという視点で転職をするのではなく、儲かっているかどうかという視点で転職先を検討するべきです。
それはなぜか。
儲かっている会社は利益がちゃんと出ている会社。つまりサービスが確立していて顧客がしっかり付いているということです。
では、会社に利益が出ているとなぜスキルアップに向いているのでしょうか?
それはとにかく、人を育てる余裕があるということ。具体的には以下のようなメリットがあります
【インプット】
インプットにしっかり時間を使わせてくれる
【仕事の教わり方】
「とにかくやれ!」ではなく「理解して進もう」というスタンス
【事業展開】
新規事業や仕事環境、業務ツールに投資できる
逆に利益が出ていない会社に入ってしまた場合、以下のような状態の中で仕事をすることになる可能性が…
【インプット】
業務中はとにかく手を動かし、インプットは終業後に自主的にやる
【仕事の教わり方】
仕事の教わり方】ではなく「とにかくやれ!」というスタンス
【事業展開】
新規事業や仕事環境、業務ツールに投資できず、社員の行動量でカバー
以下で詳しく説明します。
インプット
転職をする大きな目的として「新たな知識を習得したい!」「業界のことを学びたい!」という思いを持っている方は多いかと思います。
そうなるとインプットに時間を使わせてくれるかどうかは大きな問題ですよね。
長期的に考えれば、業務中でも本やインターネットを使って業界知識をインプットしつつ仕事を進めた方がいいのは間違いありません。利益が出ている会社ではそれをOKといってくれる傾向が強いです。
しかし利益が出ていない会社では、目の前の利益をほんの少しでも上げることに必死。
その結果「就業中はとにかく手を動かせ!勉強はタイムカードを切ったあとにしろ!」というスタンスとなってしまいがち。
こうなってしまうと仕事の全体像が理解できないまま、目の前の作業をこなすだけで新しい知識を習得するのは困難です。
仕事の教わり方
インプットと似ていますが、利益が出ている会社では、「今やっているタスクがあちらのタスクに繋がっている」と仕事内容を網羅的に教える余裕があります。
利益が出ていない会社だと仕事を覚えてもらうことよりも、こなすことを覚えてほしいため「これをやって」「次はこれ」と断片的に仕事を教えてもらうことになってしまいます。
事業展開
事業展開の差が、利益が出ている企業とそうでない企業のもっとも大きい違いかもしれません。
利益(キャッシュフロー)があれば新規事業をしてイチから事業を立ち上げる経験や、デュアルディスプレイで仕事をできたり、最新のWebマーケティングツールを使えたりと仕事に集中できる環境を用意してもらえます。
しかしキャッシュフローがないと新規事業はもちろん、いい仕事環境は望めません。こうなるとスキルアップどころか仕事に疲弊しやすくなり、転職した意味がわからないまま退職…なんてこともありえます。
仕事の本質は「どこでやるか」ではなく「なにをやるか」

転職のときに「大手にするか、ベンチャーにするか」迷うということは自分自身のスキルアップやビジネスパーソンとしての成長を考えているはず。
そこに「他人からどう思われるか」「失敗した時のリスク」を考えてしまうとなにをやるかよりもどこでやるかが優先されてしまうのです。
もちろんとりあえず大手企業にいく!という選択肢もありです。
しかし大手企業でも赤字の事業部はあります。そこに配属されてしまい、当初望んだスキルアップはもちろん、余裕のない環境で仕事のモチベーションが上がらず退職、なんてことはザラにあります。
「どこでやるか」だけを満たしても安心できるのは一瞬です。「なにをやるか」を大事にして転職を考えましょう。
新卒ならベンチャーより大手へいくべき
これまで散々「利益を出している会社にいけ!」と主張してきましたが、もしあなたが新卒で初めての就職を控えているなら、1社目は大手企業にいくことをオススメします。
理由としては、大手は「人を育てる環境」が整備されているからです。
いくら赤字になって採用人数を減らしたとしても、大手企業は数年後には中堅になる新卒を放置するようなバカなマネはしません。
社会人3年目くらいまでは仕事をディレクションする機会もスキルもほとんどないし、だったらたくさんの先輩がいてフィードバックをもらえる大手の環境にいた方がのちのちの社会人生活で役に立ちます。
今ならリクルート、Yahoo!、サイバーエージェント、DMM.comなどがおすすめ。
大企業ながら抜群のフットワークで新規事業にチャレンジしていて、新しい感性を持っている会社です。
会社が新しい感性を持っていることはとても大事。いい環境で育てばどこでも通じる考え方を持って、転職や独立をすることができます。
仕事の楽しさはベンチャーの方が味わえる
キャリアコンサルタントという立場で求職者さんや企業のお偉いさんと携わっていたときに、仕事の報酬には2つの要素があるのではないか?と感じることがありました。
1つ目は金銭的な報酬。仕事をしてそれに見合ったお金をもらう、生活に対する報酬。
2つ目は仕事が楽しい、という報酬。仕事に向き合い努力をした人だけが感じられる達成感や自己実現という報酬です。
2つ目に挙げた仕事が楽しいという報酬はベンチャー企業に勤めているときのほうが感じられる気がします。
もちろん大手企業でも仕事が楽しいと思うことあるけど、どうしても毎日同じことのループ感が強くなる。
その点、ベンチャー企業では毎日がチャレンジ。新しいことへの挑戦です。仕事を作り、苦悩し、達成する「仕事の楽しさ」はベンチャー企業ならではの喜びだと思います。
まとめ
自分のキャリアに向き合うからこそ出会う「大手か、ベンチャーか」という問題。
たくさんの人のキャリアに向き合ってきた僕は「スキルアップしたいなら儲かっている企業にいくべき」とお伝えしてきました。
とはいっても養う家族がいたり、地方で仕事が少なかったりすると好きに職業を選べないのものも事実かもしれません。
しかしどんな理由であれ、仕事は人生の多く時間を投じる重要なイベント。当然、その時間が楽しいかどうかで人生の満足度が決まります。シンプルに、楽しまなければもったいないんです。
自分は仕事に何を求めるのか。そこと向き合い、自分なりの答えをもっておくことが大切です。